ビッグベンドには非常にユニークなトレイルがいろいろありますが、ロス・マックスウェル・シーニック・ドライブ沿いにある「チムニーズ・トレイル」もその一つで、目的地にある「チムニーズ」と呼ばれる大きな岩まで行くと、太古の昔に刻まれた貴重なペトログリフを間近に見ることができます。そこまでは起伏のないブッシーな道が延々と続くだけなので、子供さんでも、登山が苦手な人でも歩けます。ただ、途中には日陰が全くないので、特に夏場は熱中症に気をつけ、日焼け対策や、十分な水を携帯する必要があります。
●エリア:Big Bend National Park (TX)
●ルート:Chimneys Trail
●距離:4.8 mile
●標高差:364ft
●難易度:🌠
●登山口:29.20577, -103.42351
車はRoss Maxwell Scenic Drive沿いにある駐車スペースに停めます。
トレイルヘッドに立つと前方左側に丘がありますが、これは「キット・マウンテン」で「チムニーズ」ではありません。目的地はこの山の向こうで、ここからはまだ見えません。
しばらくは、ブッシュやサボテンの間を縫って続く小石の転がった単調な道をひたすら前進。
ビッグベンドでいうところの乾燥した砂漠地帯で、道はわかりやすく、迷うことはないと思います。
1時間ほど歩くとようやく向こうに小さくチムニーが見え始めます。真ん中のポツンと立っているのがそれです。近くまでいくと、最後は右側から回り込んで登っていく形になります。
この最後の岩までの部分はかなり傾斜があり、足元は砂や小石で滑りやすいです。
下から見ると、ペトログリフは中央の低い位置に見えるちょっと四角っぽい黒い部分です。
頑張って岩まで上がると、ジャーンという感じで正面に現れます。これまでニューメキシコなどでペトログラフを見たことがありますが、これは驚くほど鮮明にくっきりと描かれています。これらのペトログリフ(刻まれたもの)やペトログラフ(ペイントされたもの)は非常に古く、アルカイック期(紀元前7〜6世紀)から先史時代後期(紀元700〜1700年)のものだと推定されています。そんな昔に、誰かがこの場に立ち、これを描いたのですね。何のために描かれ、何を意味しているのでしょうか?空想は広がりますが、彼らがここで何かを表現しようとしていたことは確かです。長い長い時を超えて、後世の私たちがそれを見れるということはすごいことだと思います。それに、この非常に貴重な遺跡が、何のプロテクションもなく、誰もが自由にアクセスできる自然の状態でそこにあるということに驚かされます。手が届きそうですが、触ると手の皮脂でダメージを与える可能性があるので、直接さわらないように気をつけなければなりません。
「チムニーズ」の上では、ペトログラフだけでなく、岩山の端や裏側の方まで歩いて回ることができます。しばらく周囲を探索した後は、歩いてきた道を反対方向に向かってトレイルヘッドに戻りましたが、帰り道では遠目に「ラバの耳」も見えました。遠くから見ると、向こうに巨大な体まで広がっているようにみえます。
このトレイルは、それほど長くもなく(休憩を入れても往復約2時間半)、難しくもないので、たとえば「サンタ・エレーナ・キャニオン」など他のトレイルとハシゴしてもそれほどの負担にならず、様々な顔を持つビッグベンドの一面をかいま見ることができて面白かったです。