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カミーノ・デ・サンティアゴ:雨対策はとても重要

カミーノ・デ・サンティアゴ

2024年4〜5月にカミーノ・デ・サンティアゴの「ポルトガルの道」を歩きました(行程などに関してはこちらの記事を参照)。カミーノを歩くのは2014年の「フランス人の道」に続いて2回目だったので、今回は前回の経験を踏まえ、いくつかの点で装備のアプローチを変更しました。背後にある一貫したメインテーマは「徹底的な軽量化」で、その全体的なアプローチは別の記事にまとめていますが、アイテムとして大きなポイントの一つとなったのが、雨具です。この記事では、その点に関して少し詳しく書いておきたいと思います。

前回の問題点

前回は、登山時の基本であるレイン・ジャケットとレイン・パンツにザックカバーを使いました。この組み合わせは、一旦身につけてしまえば行動しやすくていいのですが、歩いている途中で雨に降られた場合や、途中から雨が止んだ場合、着脱のためにかなりの時間ザックを下ろす必要があり、特にパンツは時間がかかります。私のレイン・パンツは両サイド全体がジッパーで開くタイプなので、少なくとも靴を履いたまま着脱はできるのですが、それでもかなり面倒な作業でした。それに、長いジッパーが両サイドについているため、とても重い(375g)という問題もありました。188gのジャケット(Marmot のCrystalline)とザックカバー(105g)と合わせると、雨具だけで668gです。それに、ザックはカバーをつけていても、肩紐の部分からどうしても雨が滲みてくるという問題もあります。

最適なポンチョ探し

そこで今回は、雨が降り出したらさっと頭から被ってザックごとカバーできるポンチョにしました。レインパンツはなしで、下半身は着丈の長いポンチョと、靴の中が濡れるのを防ぐゲーターの組み合わせで対応です。ポンチョは、体全体を覆うため、面積が広い分、どうしても重くなってしまいますが、とにかく軽いものを探しました。

まず、私が米国でみつけたなかで一番軽かったのは「Sea to Summit Ultra-SIl Nano Poncho」(145g)です。ごく一般的なポンチョ・スタイルですが、実際に着てみると、ユニセックスなのに腕は手首のかなり上まで露出し、着丈も、身長157cmの私でさえ膝がぎりぎりかくれるかどうかという長さ。さらに、軽さゆえに風が強いと全体がまくれあがり、下手すると膝どころか太腿から脛にかけて全部ぐっしょりとなりそうでした。膝が濡れて冷えるのは嫌なので、これは却下。

また、どなたかのブログで、袖がついて、丈も長く、軽い(170g)、日本のBecauseというブランドを使ったという経験談を読みましたが、こちらは防水レベルがちょっと心配でした。前回の「フランス人の道」では、ピレネー超えで雹まじりの嵐に遭遇し、土砂降りの中を長時間歩かねばならず、雨具のクオリティの重要性を痛感しています。でも、この方のブログやSea to Summitのポンチョを着てみて「ポンチョは袖付きのデザインにすることが重要だ」という認識が強まりました。

362gの軽量化

他にもいろいろ検討した結果、最終的に私が選んだのは、「Rainkiss」のポンチョ(250g)です。オランダ発のブランドで、日本でも米国でも購入でき、私はシンプルなブラック・オン・ブラックのプリントにしましたが、カラフルなオプションもたくさんあります。

これは、Sea to Summit Ultra-sil Nano Ponchoに比べると100g以上重いのですが、袖がついていて、膝下まで十分カバーできるほど着丈が長いうえ(写真は背の高いモデルさんですが、私が着るとふくらはぎの中ほどまで隠れます)、デザイン的に裾が広がりすぎてなく、ファブリックの質的にもヒラヒラと捲れ上がりにくい感じで、防水性もかなり高い(耐水圧10000mm)ものです。これに、ゴアテックスの短い防水ゲーター(56g)を組み合わせることで、雨具の総重量が306gまで削れ、前回と比べて362gの軽量化が実現できました。

実際に歩いてみて

実際に「ポルトガルの道」を歩いた時には、最初の6日間ずっと雨続きで、海岸沿いの風の強い道も多かったのですが、このポンチョを選んでよかったと実感しました。パンツは防水ではなく普通の撥水性/速乾性のあるハイキングパンツで通しましたが、ポンチョで膝が隠れるため濡れるのは裾部分のみで、パンツの下にはゲーターとふくらはぎのサポーターも着けていたため、たとえパンツに滲みてきても、肌や靴下まで濡れるということはありませんでした。特に風の強い時には、ポンチョの両サイドからザックの腰ベルトを出してお腹の上からバックルをしめることで、捲れ上がりをかなり抑えることができました。最近はタイツ型やスタイリッシュなフィット感のあるハイキングパンツも人気ですが、雨の時は、ゲーターをつけないまでも、パンツの裾で靴の開口部を覆うことが大事です。靴の中が濡れると、乾かすのが大変で、足のトラブルのもとにもなります。また、いうまでもなく、靴は防水モデルを選ぶことがマストです。

もう一つ、このポンチョのよかった点は、ユニセックスなので袖丈が長く、そのために手首の開口部分はベルクローで調節できるようになっているのですが、その袖の長さゆえに雨の時は袖口を緩めて手をすっぽりなかに隠すことができたという点です。ただし、これは私が今回トレッキング・ポールを使わなかったからできたことで、ポールを使う人は防水手袋の用意を検討すべきだと思います。私も前回のカミノでは毎日ポールを使用し、雨の時は防水手袋のおかげで手のかじかみをかなり防ぐことができました。

雨のなかを歩く時の注意点

いずれにしろ、ポンチョはザックごとカバーしてくれるという点で非常に楽で効率的でした。でも、大雨のなかの長歩きでは、どんなに外側をカバーしていても、雨具の内側に少し水が滲み込んできたり、外に逃しきれない汗で服がぐっしょりになる可能性もあります。バックパックに入っている着替えなどを絶対に濡らさないためには、外側だけでなくザック・ライナーとして防水サックを使い、二重に備えておくことをお勧めします。本格的なサックでなくてもビニールのゴミ袋などを使うだけでも違うと思います。

また、ポンチョでもレインジャケットでも、フードの下にはツバのしっかりした帽子をかぶると、目の前に雨が垂れてきて顔にかかることを防ぐことができ、視界を広く保てます。下ばかり向いて歩いていると、黄色い矢印を見落とす危険性があります。雨の中では、スマホをだしてもタッチスクリーンが濡れてきちんと機能しなくなるため、迷わないように矢印をしっかり確認しながら歩くことが特に重要になります。

あと、私は街歩き用に超軽量の折りたたみ傘も持って行き、かなり重宝しました。これは日本で購入したもので、小さく、わずか100gなので負担になりませんでした。

これまで述べた私の選択はあくまで一つの参考にすぎませんが、カミーノでは雨具が不可欠で、使用時にはそのクオリティや使い勝手が歩きにも大きく影響してくるのは確かです。現地で雨に遭遇した時に後悔しないよう、しっかり準備をしていきたいものです。

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