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アメリカの山を歩く時のクマ対策〜ベア・スプレーはハイカーの心強い味方

山や自然の知識

米国の山々では「BEAR AWARE」といったクマへの注意を促す表示によく出会います。これは軽視すべきではなく、こうしたクマの棲息する地域に入る時にはそれなりの心構えと準備をしていく必要があります。

いざという時のためのベア・スプレー

防御の第一ステップは、音を立てて自分が歩いていることを早めにクマに知らせ、クマの方から離れていくように仕向けることです。そのため、3人以上のグループで歩くことが推奨されていて、特に見通しの悪い場所では、鉢合わせを避けるため、声や音を出すようにします。クマ鈴を下げるという方法もあります。ただし、これらはあくまで会わないようにするための予防策なので、実際に遭遇した時に備えてベア・スプレーの携帯が呼びかけられています。これを使うのは「クマを見つけた時ではなく、クマが向かってきた時」なので、基本はあくまで「クマをみつけたらゆっくりその場を離れる」ですが、それができない状況やクマが近づいてきた時には、スプレーの出番です。噴射してクマが退散したり苦しんでいる間に安全な場所に逃げます。ペッパースプレーのような刺激の強い成分なので、皮膚、目、鼻、喉の粘膜などに強烈な刺激を与えますが、殺傷力はありません。

レンタルというオプションも

ベア・スプレーは機内に持ち込めないため、例えば遠くから飛行機でイエローストーンに行く場合などは、現地で調達するしかありません。クマがいる国立公園などの周辺では、ブックストア、ギフトショップ、サービスステーションなどで売られていて、種類も豊富ですが、EPAに認可されたクマを止めるための商品を選ぶことが重要です。同じようなスプレーでも、日常生活や警察などが使用する催涙スプレーとは異なります。ただ、ベア・スプレーはかなり高価で、使用期限もあり、その旅で使わなかった場合、飛行機に乗って帰る人は持ち帰って次の機会までとっておくといったことができません。イエローストーン国立公園やグランドティトン国立公園周辺ではレンタルというオプションもあるので、実際に使うかどうかわからないものを購入するのに抵抗がある人は、こうしたサービスの利用を検討してみるものいいかもしれません。

イエローストーンでは、オールドフェイスフルの駐車場近くにレンタル・ステーションがあり、キャニオン・ビレッジにもサイトがありました。レンタルに興味のある方は、bearaware.comをチェックしてみてください。

取り扱い方法

ベア・スプレーを持ち歩く時は、バッグの中に仕舞い込んだりせず、必要時にすぐ取り出せる場所に入れておくことがとても重要です。デザインは消化器に似ていて、以下のように使います。

1、クマが向かってきたら親指でセーフティ・クリップを外し

2、少し下向きにクマの足を狙う

3、約20mの距離まで迫ってきたら、風の向きを考慮しながら噴射して、自分とクマの間に霧の膜をつくり、クマがスプレーの霧の中を通るようにする

4、スプレーした後は、走らず歩いてその場を離れる

5、クマが止まらずにさらに向かってくるようなら、もう一度、今度は顔に向けてスプレーする

いざという時にあわてないよう、トレイルを歩き始める前に、スプレーを取り出したり、クリップを外す練習をしておくのも大事です。また、ベア・スプレーは使っていない時の取り扱いにも注意が必要で、120℉に達すると爆発する危険性があるため、車のコンパートメントや直射日光があたる場所、ヒートの近くなどに放置しないこと。スプレーの有効期限もきちんと確認し、一度でも使ったものは溶液の残量がわからないため、毎回新しいものを使うようにします。使用後のスプレーは普通のゴミと一緒に捨てず、パークのビジターセンターやレンジャーステーションでリサイクルしてもらいます。あと、笑話になりそうですが、ベア・スプレーは虫除けスプレーのように使うものではありません。自分やザックなどにかけても効果はないので、念の為…。

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