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バイソンとバッファローはどう違う?〜イエローストーンにいるのは…

山や自然の知識

アメリカ人に下の写真を見せて「この動物は何だ?」と尋ねると、自信を持ってバイソンと呼んだりバッファローと呼んだりすると思います。これは米国のイエローストーン国立公園で撮影したものですが、彼らにとってこの動物はなじみ深く、通常はそれら2つの名称を同じ動物に対して使っています。でも、実は両者は異なる動物で、この動物の正しい名称は「バイソン」です。より正確にいうと「アメリカ・バイソン」(Bison bison)です。

バイソンは野牛で、世界的に見ると北米やヨーロッパに生息していて、アメリカにいるものは「アメリカ・バイソン」、ヨーロッパにいるものは「ヨーロッパ・バイソン」(Bison bonasus)と呼ばれます。この2つは似ていますが、ヨーロッパのバイソンの方が頭の毛が短く、耳がでている感じ。アメリカのバイソンは全体によりヘビーでずんぐりしていて、頭が大きく、髭も長いですね。ただし背丈はヨーロピアンの方が高く、しっぼもふさふさしてます。またツノは、アメリカの方はサイドへ、ヨーロピアンは少し前へ向いています。

一方、本物の「バッファロー」は水牛で、外見はバイソンとかなり異なり、よりツノが長く、体毛が少ないです。これも生息地域によって、アジアにいる「ウォーター・バッファロー」とアフリカなどにいる「ケープ・バッファロー」とに分けられます。

「ケープ・バッファロー」は、髪の毛をセンター分けにして先を外まきにカールさせたようなツノが特徴的ですね。こうなると最初の「アメリカ・バイソン」とはもう全く別物な感じです。

とはいえアメリカでは、水牛はいないので、最初に書いたように「アメリカ・バイソン」のことをバイソンまたはバッファローと呼び、2つを区別しないのがあたりまえになっています。

現在アメリカで野生のバイソンの群れを見るのに最適な場所は「イエローストーン国立公園」で、ここは先史時代からずっとバイソンが棲み続けている唯一の場所といわれます。ここにいるバイソンは、牛との交配が進んだ他の地域と違って、純血種のまま残っているのです。

イエローストーンの中には、群れを見ることができる可能性の高い場所が数カ所ありますが、お勧めは「Hayden Valley」です。キャニオン・ビレッジからグランドループ・ロードを南に下ったところの、イエローストーン川を中心に草原地帯が広がっている地域で、南側はだいたい「Mud Vocano」あたりまで。時間帯も重要で、夏なら夜が明けて朝日が昇る頃に、大規模な群れが草を食べながらこの辺を移動している確率が高いです。タイミングがよければ車道からでも見えるし、もしかしたら車道を横切っている可能性もあります。普通の牛は、背中の線が真っ直ぐで全体に四角いシルエットですが、バイソンは頭から肩にかけてがモリモリしていてアメフトの選手のようなので、遠くからみても、違いは一目瞭然です。

ただし近づきすぎるのは危険で、バイソンやエルクは25ヤード(23m)以上離れたところから見ることが奨励されています。近くにいるバイソンが目の前で立ち止まってこちらをみたら、後ろにさがるのが賢明。特に少ししっぼを上げているようならちょっと苛立っているということなので、離れましょう。もっとしっぼが上がると突撃してくる可能性もあります。バイソンはおっとりしているように見えますが、迅速で、方向転換も上手な、機敏な動物なので、けっしてあなどってはいけません。

ちなみにイエローストーン内のレストランでは、バイソンとエルクの合い挽き肉で作ったバーガーを食べることもできます。牛の仲間なので、味に大きな違和感はありませんが、牛肉よりも低脂肪、低カロリー、低コレステロールで、臭みはほとんどなく、食感は少しドライで歯応えがある印象でした。

また、イエローストーンでは2024年6月に、ラマーバレー(Lamar Valley)で超レアな白いバイソンが誕生し、大きな話題になっています。

白いバイソンは、牛の遺伝子を持つ飼われたバイソンの間ではマレにみられるけれど、野生で生まれたのは近代では初めてだそうです。先住民の間では、聖なる動物と考えられ、これは奇跡であり、キリスト教でいうイエスの降臨にも匹敵するほどの出来事という人もいるくらいです。White Bisonは「大きな変化の予兆」と言い伝えられ、これが暗示する変化は「祝福であると同時に警告でもある」とか。これから世の中は大きく変わろうとしているのかもしれません。

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