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ロッキー山脈の最高峰エルバート山(Mt. Elbert)に登頂〜普通のハイカーでも頑張れば可能!

コロラド

●エリア:Mount Massive Wilderness (CO)
●ルート:North Mount Elbert Trail (ピストン)
●距離:往復9.5 mile(15km)
●標高差:4461.9 ft
●難易度:🌠🌠🌠🌠
●登山口駐車場:39°09’06.5″N 106°24’44.6″W

山について

エルバート山は北米ロッキー山脈の最高峰で、標高は4401m(1万4440フィート)です。アラスカとハワイを除く米国本土ではカリフォルニアのホイットニー(4418m)に次いで2番目の高さで、富士山よりはるかに高いですが、1日で登山口から山頂まで登り、戻ってくることができます。フォーティーンナーズ(標高14000フィート以上の山)のなかでは登りやすい山(クラス1〜2)で、「穏やかな巨人」といわれますが、それでも相当ハードなデイハイクになるのは確実なので、きちんとした山の装備(登山靴、水、食糧、ポール、防寒具、雨具など)が必要です。季節的には6月下旬〜9月上旬がベストで、私は8月に登りましたが、夏でも寒くなったり、時には降雪もあります。

また、高い山は天候が変わりやすく、午後は雷のリスクも高まるため、なるべく早めに森林限界の下まで降りてこれるようにスケジュールを組み、基本的に夏は正午までに山頂を踏むのがベスト。このルートを歩くのにかかる平均時間は7時間半といわれますが、自分の体力に応じたプランニングが必要となります。そして、ピークシーズンの週末などは朝早く行かないと登山口の駐車場がいっぱいになるため、そのためにもなるべく早朝から歩き始めた方がよく、私は5時前からヘッドライトをつけて歩き始めました。入山やパーキングのための特別な許可は必要ありません。

もう一つ気をつけなければならないのは、高山病の問題です。特に標高の低い街で日常を暮らしている場合は後半辛く感じるケースが多く、ピークまで辿り着くのを諦める人もいます。私も高度に弱い方なので、高山病対策として登る前3日ほどをロッキーマウンテン国立公園ですごし、標高3000m以上のトレイルを登ったり降りたりして高度順応に努めました。当日にできることとしては、急がず適度なペースで登ること。また高山では発汗量が増えるため適切な水分補給をすること。さらに登山前に十分なエネルギーを補充するための食事を心がけることも重要です。私はこれがきちんとできてなかったため、高山病プラスの“シャリバテ”でピークを前に相当辛い思いをしました。

ルートの選択

エルバート山にはだいたい5つのルートがありますが、最も一般的なのは、比較的安全で登りやすい「クラス1」に分類される以下の2つといわれます。

  1. 「North Mount Elbert Trail」(9.5マイル、標高差4700フィート)
  2. 「Southeast Ridge Trail」(11マイル、標高差5111フィート)

私は、北から入りNortheast Ridge を通る1番の「North Mount Elbert Trail」を歩きました。このトレイルは勾配が比較的緩やかで、途中の上下変動が少ないため、山頂までの歩く距離が短くてすみ、ストレスが少ないといわれます。このルートの登山口に一番近い町はコロラド州レッドヴィル(Leadville、標高約3100m)で、宿泊施設やレストランなどもあり、私も前日はここに宿泊しました。町から登山口までは車で20分ほど。パーキングにはトイレがありますが、水場はありません。

実際に登ってみると…

登山口(トレイルマップでは①)には地図と注意事項などが掲示されています。
前述のように私は暗いうちから歩き始めたので、これは戻ってきた時に撮影したものです。

最初の3分の1は森林の中を進みます。歩き始めはヘッドランプで照らした足元しかみえませんでしたが、徐々に明るくなってきて周りが見えてきます。

さらに進んで地図の②あたりまでくると森林限界を超えます。
下の写真では、向こうにうっすらとピークが見えてますが、本物のピークがこんなに近いはずもなく、最初の擬似ピークです。疑似ピークはこの先何度も現れ、期待してはがっかりさせられることになります。

振り返ると東の空が明るくなり、日が昇り始めました。

この頃まではお天気が良く、周りの素晴らしい景色を楽しみながら登りました。
はるかかなたで雲の間から頭を出しているのはマッシブ山でしょうか…。

この時点ですでに1時間半以上登ってたくさん汗をかいてます。でも山の気温は、8月なのにかなり低かったようで、一緒に歩いたパートナーの黒いシャツを見ると吹き出した汗が白い霜になってました。

まだまだ先は長いので歩き続けます。

斜面を超えるとあの擬似ピークが迫ってきます。

これが結構長くて厳しく、

歩いても歩いても目の前の情景がほとんど変わらない感じなのですが…
周りの景色に癒されます。

本当に辛いのはその先の岩場からで、勾配もきつくなります。

このあたりからガスり始め、景色もあまり見えなくなりました。
その後も何度か疑似ピークに惑わされながら、ようやく最後のスロープへ。

そして、ついに山頂に到達しましたが、ガスで周りの景色はほとんど見えず…。

一番高いところにきたことはわかりますが、上は岩だらけで、エルバートの山頂であることを示す表示のようなものもみあたりません。

それでも、ピークを踏めただけで十分感動したのですが、この時ちょうどそこにいた別のハイカーが、持参していた自作のサインを貸してくれたので、それを持って記念撮影をすることができました。周りの景色がみえなかっただけに、これでエルバートの山頂であることがわかり、とてもありがたかったです。これから登る人は、こういう時に備えて記念撮影用のサインを持っていくのも一考です。紙に書いて折りたたんでいけば、軽いし嵩張ることもないと思います。

ピークを踏んだ後は、午後の雷とのレースとなり、途中少し雨も降り始めたので、なるべく急いで森林限界まで下りました。それより上は雷が鳴っても隠れる場所がないので、非常に危険で恐いです。

でも下りは、すでに山頂まで行った達成感があるうえ、上で持参したランチを食べお腹を満たしたのでシャリバテが回復し、標高が下がるにつれてどんどん高山病の影響もなくなって、特に森林地帯に戻った後はリラックスして歩くことができました。

ロッキー山脈の最高峰を制覇したこの体験は、私にとって一生の思い出になります。長くハードなハイクでしたが、ある程度山歩きに慣れた人であれば、頑張れば手が届く山なので、興味のある人はぜひ挑戦してみてください。

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